頑丈な工事現場の事務所から洋菓子のおしゃれな店舗まで−−。三協フロンテア(千葉県柏市)は折り畳める建築物「ユニットハウス」の販売、レンタルを手掛ける企業だ。短期間に組み立てができ、自由に建て増し可能な特性を生かし、多様なユニットハウスを製作。様々な場所で利用されている。
「プレハブに比べ施工期間が短く、工期がぶれない。建て増しも自由にできる」。同社の端山秀人常務はユニットハウスの利点をこう話す。秘密は工程の約8割を工場で生産していること。電気配線をはじめ、蛍光灯やコンセントも生産時に組み込み、組み立てはクレーンでつり上げて置くだけ。20坪2階建て程度ならば1日で施工でき、プレハブより2日ほど短い。
ユニットハウスづくりの原点は、1970年代の建設現場にさかのぼる。「当時の建設現場は環境が劣悪。作業員に楽に作業してほしいという思いから仮設として開発した」(端山常務)。いまも工事現場で根強い需要があるが、近年は店舗や個人のセカンドハウスなどにも用途が広がっている。
しかし店舗などの場合、素早い施工はもちろん、外観に高いデザイン性が求められる。そこで問題になるのが通常の建築物に比べ自由度が劣る点だ。ユニットハウスは形や柱の位置が決まっている。業種によって求められるデザインも様々で、依頼主の要望にどれだけ応えられるかが課題になっていた。
そこで同社は、ガラス張りのユニットやウッドデッキなど多彩なオプションを用意。天井、階段、床なども数パターンの中から選ぶことが可能で、用途や好みに応じ、オリジナルのユニットハウスを作ることができる。
顧客ニーズを取り込む工夫を欠かさないが、「現在はまだノウハウを吸収中。将来はハード、ソフトの両面で、業種ごとの要望にかなう形を提案したい」(端山常務)と目標を語る。
施工期間の短さや手軽さのほかに、ユニットハウスには、環境に優しいという特徴がある。
同社によると、産業廃棄物最終処分量の約61%は建設廃棄物という。プレハブ建築などの場合、解体した建物はほとんど廃棄するしかないが、ユニットハウスは折り畳めるため再利用が容易。中古品として個人宅の物置などにも転用されるなど、温暖化が大きな社会問題となっているなか、注目を集めている。
社名の「フロンテア」は、故ケネディ米大統領が提唱した「フロンテア・スピリッツ(開拓者精神)」から取った。2006年には米ロサンゼルスに駐在事務所を設け、グローバル企業へ一歩踏み出した。
新たな事業の場を求め続けていく精神は創業から40年近くたった今も変わらない。「個人向け販売にも力を入れたい」(端山常務)と、これからも開拓を続ける方針だ。
平成19年9月14日 日本経済新聞 千葉・首都圏経済欄
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